とってもおしゃれブログ

へそまがりな洋服好きの中年が全然おしゃれじゃない偏屈アイテムについて個人的な思い入れを語るブログです。

手に持つべきはスケボーかレンチか

なんだか10年おきくらいで流行る......と言えるほどでもないけど、何となくそこそこ短期的な周期でファッションアイテムとして注目されて、でも結局はイロモノ扱いされてフェイドアウトしていくような印象があるもの。それがこれ。

 

ツナギ。

 

f:id:saito_d:20201221145704j:plain

 

たしかに見た目のインパクトは強い。でも決してオシャレとも言えません。

なのでこれをファッションとして着るには、キャラクターやコンセプトの自己設定が必要となってきます。

ワーカー、バイカー、スケーター、おもしろキャラ、BEASTIE BOYSPOLYSICSSlipknot のコスプレ......

労働者の作業着としては時代に関係なくごく一般的ではあるものの、お洒落着や普段着としてはどうしてもネタ的・キワモノ的なコーディネイトでしか機能しないので、この先も王道アイテムとして定着するのは難しいのかもしれません。

※お笑い芸人の衣装なんかにも使われやすいし......

 

でも僕はこのツナギという服が昔から大好きで、着る機会はとても少ないものの常に一着二着は欠かさずラインナップしています。

 

f:id:saito_d:20201221145719j:plain

こちらは BIG BILL のツナギ。近年ものですが古着で購入。もちろんファッション用で作られたものではなく本物の作業着。色も古着ではありそうで無い黒。かっこいい。

BIG BILL は日本に正規代理店が無く、ファッション向けのライセンス展開もされていない、質実剛健さが魅力の本気のワークウェア・メーカーです。

 

hb.afl.rakuten.co.jp

hb.afl.rakuten.co.jp

hb.afl.rakuten.co.jp

 

さて、僕がツナギを持つ理由。まずは本当に作業着として。

前回の記事でも触れたように、これから作業着を着る仕事をすることになったというのも勿論ありますが、それ以外にも年末の大掃除や家具の組み立て、子供の学校や地域のイベントなど、何かしらの作業をする機会というのは常に発生するものです。なのでファッションとはまた別に、そういった際のためにツナギを常備させていました。

 

そして、武骨な漢(オトコ)に対する憧れ。

僕の父ちゃんは若い頃、バスの整備士でした。その後は仕事ぶりが認められて内勤となり営業所長まで出世したのですが、僕が子供のころに見ていた父親は常に会社のツナギを着て、油まみれで仕事をしていたのです。そんな子供の頃に描いた「大人の男」のイメージが脳内にあり、ツナギが似合う男になりたいという願望を持っているんですね。

 

 

ただし。

 

そんなコスプレ的ファッションや作業のためではなく、かつて、本当にオシャレだった時代があるんですよ。

 

90年代中頃、裏原宿でストリートブランドが台頭してきていた時代。当時のファッションリーダーが古着のツナギを愛用してファッション誌で紹介し、一躍人気アイテムとなったことがありました。

 

f:id:saito_d:20201221154804j:plain

http://www.decadeinc.com/jun-murakami/

 

村上淳。通称「ムラジュン」。

これが誰なのかさっぱりわからない若い人もいるかと思いますが、藤原ヒロシNIGO、ジョニオらを中心に、その周辺人物によって裏原宿ブームが起きていた時代、その人脈にいた彼の人気はそれはそれはすごいものがありました。

 

その中において、どちらかというとちょっと汚らしくてワイルドなスタイルを好んでいたのがムラジュン。彼が一時期好んで着ていたのがデニムのツナギだったわけです。

 

f:id:saito_d:20201221145735j:plain

 

その後、PUFFY(や、たしかキムタクあたりも)が着たことで、世間一般ではそこが発信源みたいな扱いをされていましたが、元を辿ればムラジュンなのです。当時もモヤモヤしたものです。

 

ムラジュンが着ていたのはアメリカのヴィンテージ。

デニムのツナギはタマ数が少なく貴重で、今もそう簡単に出てきません。僕が持っているものはだいぶ近年のポリ混で、所謂VAT DYE素材。

f:id:saito_d:20201221145753j:plain

でもブランドは人気の「BIG MAC」で、しっかりMADE IN U.S.A.。

このインナーに白いボタンダウンシャツを着て首に赤いバンダナを巻いて、門前仲町富岡八幡宮の骨董市へいった際、そこに来ていた「サーティーファイブ サマーズ」の寺本氏とお連れの外国人に声をかけられ、写真を撮られたことがあります。あの外人さん、誰だったんだろう。

 

f:id:saito_d:20201221145810j:plain

ポリ混とはいえ、ちゃんとアタリが出るのはさすがアメリカもんといったところ。

 

ムラジュンの真似っこですから、合わせる靴は当然コレ。

f:id:saito_d:20201221145852j:plain

f:id:saito_d:20201221145907j:plain

VANSスリッポンの、チェッカーボード。

定番アイテムではありますが、日本でこれを流行らせたのもムラジュンです。上記のBOONが初出かな?

当然ながら当時はABCマートで売ってるものも普通にアメリカ製でした。無地のトリコロールカラー、持ってたなあ......

 

f:id:saito_d:20201221145823j:plain

f:id:saito_d:20201221145840j:plain

 

ツナギもVANSスリッポンも、90年代を語る際に取り上げられることはあまりありませんが、確実にその年代のストリートファッションを象徴するアイテムのひとつと言えると思います。

あとはカウチンセーターなんかも同様。カウチン、00年代前半くらいまではBeginに載ってた記憶があるけど、その後まったく流行らないなあ......

 

 

ただ、このデニムのツナギ、サイズがちょっと小さくなってきちゃいまして、最近は着ていません。

ツナギは絶対にダボダボで着なければなりません。ジャストサイズは絶対にダメなんですよ。何度も言います。絶対です。

なぜならツナギをジャストサイズで着ると、こうなってしまうからです。

 

f:id:saito_d:20201221162255j:plain

 

ツナギ着用の際は、十分にご注意を。