2000年以降も雑誌『Free & Easy』に端を発するラギッド・スタイルの流行でネルシャツ人気が高まったことがありましたが、アメカジ界隈で重宝がられるのは、BIG MACやFIVE BROTHERに代表される、通称 “ヘビネル”(ヘヴィオンスのネルシャツ)と呼ばれる厚手のものがほとんど。
もちろんそれも粗野で男くさい魅力がありとても良いものですし、当然僕も持っていますが、90年代ロックのそれは、またちょっと違うんですよ。
ヴィンテージ価値のある “ヘビネル” ではなく、薄手のフランネルにチェック柄をプリントした “プリントネル” もしくは “ライトネル” と呼ばれる、古着屋の入口のラックに1,000円均一で並んでるようなボロ布こそが、(嫌な言葉だけど)グランジのネルシャツだと思うんです。
今ではファッションの神扱いされるカート・コバーンの象徴ともされるネルシャツ。その彼がよく着ていたのはヘビネルではなくライトネルであることは誰もがわかっているはずです。写真を見れば一目瞭然なので。
では何故、アメカジLOVERに重宝がられるのは、ファッション神が愛用したプリントネル/ライトネルではなくヘビネルばかりなのか。もちろんただの憶測に過ぎませんが、その理由はこれじゃないかと考えます。
プリントネルは Made in U.S.A. ではないから。
そして、新しいから。
以下、正式なソースが見当たらず記憶のみでザックリと書きますから、間違ってたらすみません。
【 訂正 】
以下、よくよく考えたら全然違いました。
だって、50〜60's頃のヴィンテージにもプリントネルは存在してるじゃないか。
書いたときは何故かそのことに全然気づきませんでした。
プリントネルを探しているときに、以下に書いたような内容の記事をどこかで読んだことだけはうっすら覚えています。そのときに記憶が上書きされて、それが先入観になってしまったんだと思います。
大変失礼いたしました。
プリントネルは70年代以降に開発された意外と新しいモノで、それまでは織りで作っていたフランネルのチェック柄をプリントで再現できるようになり、より大量に生産することが可能になったと。
なので、そもそもアメリカ国内での生産はあまり行われておらず、はじめから第三国で作られたものが多い。ヘビネルを米国製で作っているBIG MAC(J.C. Penney)もSearsもMontgomery Wordも、山ポケでお馴染みのBIG YANKも、ライトネルに関しては米国内で作っていません。
※「AMERICAN EDITION」や「OZARK TRAIL」など、稀にプリントネルをUSA製で作っているブランドも中にはありますよ。
ですから出自それ自体が、所謂ヴィンテージ的な価値の蚊帳の外にいるアイテムなんですよね、プリントネルって。
※「AMERICAN EDITION」や「OZARK TRAIL」など、稀にプリントネルをUSA製で作っているブランドも中にはありますよ。
ですから出自それ自体が、所謂ヴィンテージ的な価値の蚊帳の外にいるアイテムなんですよね、プリントネルって。
上記を、以下の内容に訂正いたします。
『かつて古着屋で格安ラックに並んでいたようなネルシャツは、年代も新しめの、諸外国製で大量生産のチープなものがほとんどだったので、USA製でラギッドな魅力のあるヘビネルのほうが圧倒的に人気だった』
本当にすみません。それでは以下から改めてお読みください。
日本人の服好きって、生産国表記やディテールが超大事だし、大好きじゃないですか(もちろん僕もそうです)。
でも、我らがグランジ神が着ていたのは、人気のヘビネルではなくプリントネルなわけです。なのに今現在も、プリントネルにはまだヴィンテージとしての価値が付いていません。
でも、我らがグランジ神が着ていたのは、人気のヘビネルではなくプリントネルなわけです。なのに今現在も、プリントネルにはまだヴィンテージとしての価値が付いていません。
注)そしてここも訂正で、2023年現在はしっかりと人気が出て、タマ数も減り、値段も上がってしまいました。
あーそういうのって、完全に俺の分野だなーと。
アメカジ古着屋でもリユースショップでも、いつも安価で大量に放出されているプリントネル。その良さに気づいたのは15年くらい前。それ以降いつもネルシャツのコーナーをチェックし、お気に入りの一着を探し続けているのですが……
ですが。
ここが古着漁りの難しさと楽しさ。
柄・サイズ・状態・タグ…… 自分の好み全てを満たすものには滅多に出会えません。
正直、3年に一着出会えれば良いくらいのレベル。もちろん値段は安いモノですから、いざ出会えたら1,000 円で買えたりするんですけど。
正直、3年に一着出会えれば良いくらいのレベル。もちろん値段は安いモノですから、いざ出会えたら1,000 円で買えたりするんですけど。
なのに、無い。とことん無い。
ガンズのアクセル・ローズよろしく赤ベースのチェックは数も多いので比較的出やすいのですが、そんなに何着も要らないし。
この「BUD BERMA」は良柄が多くて形も良いですよ。
個人的にずっと探しているのにまったく出ないのは、青ベースの良柄。15年も見つからないままです。探し始めてから一着も見つけられていません。
青ベースのチェックに赤や黒が入ってる系のやつが好みなんですけど、まぁ出会わないですね。バッファローチェックも赤はよく出るのに、青となると途端に少なくなる。
数はたくさんあるはずなのに、自分の好みのコにはなかなか出会えない。人生そのまんまだ。
つい先日、たんぽぽハウスで105円で買った、恐らく00年前後のGAP。プリントではなく、それよりは厚手だけど、BIG MACのヘビネルほど厚くもない。その中間くらいのミドルウェイト。GAPやEddie Bauer、L.L.Beanにはこれくらいの厚みのネルシャツが多くて、個人的にはそれもかなり好み。
しかし。チェックシャツと言えば、カート・コバーンと同じくらい、オタクの象徴でもありますよね? モテやオシャレーとは程遠いアイテムとされています。
でも、だからこそ良いんです。
オシャレーやモテを意識してる男の格好悪さよ。女ウケを気にして服を着るなんて、その思考回路自体がかっこ悪い。服でモテようとするな。男は黙ってチェックシャツ!
ネルシャツは、着込んで洗い込まれてヘタってるくらいがかっこいい。ズボンは適当な色落ちのジーパンか、チノパンで良い。足元は気取って革靴など履かず、当然のごとくズック靴。
良いんですよそれくらいで。オシャレなんてしたって、結局行くのは洒落たカフェなんかじゃなくて立ち飲み屋だし。
カートやエディ・ヴェダーみたいに、汚いネルシャツを着ててもカッコイイと思われるようなキャラになりたいものです。
そして最近はビッグサイズが流行中なので、作りがデカいアメリカ古着が選びやすくなったのがとても良い傾向です。
古着屋にはいつでもどこでもあるのに、いつも不人気なアイテム、プリントネル。僕はやっぱり、そういうところで自分だけのアイテムやブランドを見つけたいなあと思ってます。
だって、すでに世間で評価されてるモノなんて、探すのも着るのもつまらないじゃないですか。