これまでいろんなスニーカーを履いてきた中で、一番思い入れがあるのがコレ。
ALL STARのレザーHi。色はブラック。こちらは2代目です。
USA製にプレミアが付き始めた頃。定価より高くても今のうちに買っておかないともう二度と手に入らないだろうと考え、古着屋にてデッドストックを購入。
もちろんMADE IN U.S.A.です。
初めてこれを履いたのは、たしか高校2年生のとき。
世はハイテク・スニーカー全盛。正確にはピークを迎えて、ごく一部の早い人たちが次なる一手を探し始めていた頃ですかね。
エアマックス、フットスケープ、ポンプフューリーをはじめとしたハイテク・スニーカーは、山形の田舎ではたとえ欲しくても簡単に実物が見つかるようなものではなくて、高校生のお小遣いで手に届くような値段ではなくなっていたので、憧れながらも実際に購入はできませんでした。
とはいえ近隣の都市部に行けば売ってたり、ネットはないけど雑誌に載ってる広告等で通販自体はあったので、周囲に履いてるやつらはそこそこいたんですよ。
でも、その時代から今に至るまで基本的には変わっていない僕の性癖がありましてね。
みんなが欲しがってる流行りものや、人と同じものがどうしても嫌なんですよ。
人と違うところで面白いものを見つけたい。人気があるものに高いお金を払いたくない。へそ曲がりでひねくれているのは子供の頃からの性分なので、これはもうどうしようもない。
なので、他の人と少しズレてて値段的にも在庫的にも手に入れやすく、カッコイイ靴は何かないものかと思っていたとき。
雑誌『Boon』の「次にくるスニーカーはこれ!」みたいな特集に、注目モデルのランキングTOP 20が載っていて、その20位にランクインされていたスニーカーがコレ。
CONVERSE オールスターのレザーモデル。
「スニーカー = ハイテク」だった時期に、それ以外のスニーカーが注目されていることにビビっときましたね。
さらに中学時代には、すかんちのローリー寺西が当時の衣装で履いていた赤のオールスターを真似して買っていたこともあり、すでに自分に馴染みがあったというのも理由のひとつ。
そして、レザーのオールスターの中でも特に、黒のハイカット。これがすぐにピンときたんです。
これだ。SLASHが履いてるやつだ。
当時はグランジ以降のオルタナティヴ・ロックが全盛で、僕もHR/HMは完全に卒業してました。
GUNS N' ROSESも活動休止のような状態でしたが、僕が生まれて初めて聞いた洋楽ロックがガンズで、持っているギターもSLASHタイプのレスポール・モデル。音楽の好みは変わっていたものの、スラッシュは変わらず大好きなギタリストでした。
昔から、身に着けるものにはカッコイイ以外の理由が何か欲しいんですよね。特に僕は服よりもずっと音楽のほうが好きでしたから、音楽的なバックボーンはどうしても欲しい。
オールスターのレザーハイカットは、まさにこれにピッタリだと直感したんです。
ただ、その記事を見つけたのは、果たして自分が最初だったのか……?
ファッション好きでかなり情報通の同級生がいて、そいつを中心に、クラスのみんながファッションに夢中でした。古着もモードも裏原宿も、ギャルソンもエイプもエアマックスもポーターもセッターも、みんなそいつが見つけては誰よりも先に入手して、学校中に流行らせる。
あの『Boon』のランキングにあったレザーのオールスターを見つけたのは、そいつが先だったか僕と同時だったかは、今となっては思い出せません。
たしか、僕がそいつよりも少し先に黒レザーのハイカットを入手した記憶があるけど、そいつも同時期に白レザーのローカットを買って履いていました。
ハイテクを履いてるやつらが学校で盗まれないように教室へ持ち込んで置いておく中、平気で下駄箱に入れたままにできるのもよかった。
他のやつらにゃこの良さはわからないだろうという優越感を味わえた、最初のアイテムだったかもしれません。
ちなみにその同級生は高校卒業後に服飾学校を出て、古着屋に勤め、現在は着物業界で活躍中。今でも仲がよくて、つい先日もLINEでニューバランスの話などをしてました。
そして、僕がオールスターを履き始めた直後に、ハイテク・ブームは一気に凋落。
その反動としてコンバースの人気が急激に高まり、ハイテクに対抗して“ローテク・スニーカー”という言葉も生まれ、形勢が逆転していくことに。
藤原ヒロシが履いたジャック・パーセルやNorthwave、ムラジュンが履いていたVANSのスリッポンなどが注目されるようになるわけです。
そうそう、ジャック・パーセルはカート・コバーンが履いていたってのはほとんど後付けで、90年代に流行らせたのは結局、藤原ヒロシだったんですよ。
何はともあれ、ひねくれたおかげで人よりも先に目を付けたコンバースが、結果的にはその後、流行のど真ん中になったというお話。
人と違うけどカッコイイものを探し出して、人気が出たときに優越感にひたる快感を覚えた最初の経験と言えるかもしれません。
※もちろん、僕がひねくれて選んだもの全部が流行ってるわけじゃなくて、ごく一部です。もしもぜんぶ流行ってたら僕も藤原ヒロシになれちゃいますからね。
その黒レザーのオールスター、大学時代もずっとメインで着用し(何せ、くたびれたほうがカッコイイ靴ですから)、社会人になるまで履いていたと思いますが、ハトメも取れてソールもダメになり、さすがに処分。
USA生産の終了からしばらくして古着屋でデッドストックで見つけ、買える値段のうちに買い直しておこうと思い入手したのが、写真に載せた2代目というわけです。
そんな最も思い入れの強い一足なのですが……
メルカリで売りに出しました!
何なんだよふざけんなよって話かと思いますが(笑)。
いやー、もうこれ、みんなが欲しがる希少品になっちゃったじゃないですか。
先に言ったじゃないですか。ダメなんですよ、僕。そういうのが。
レアで人気のあるメジャーなアイテムは基本的に楽しくないんですよ(笑)。
※もちろんNew Balanceフラッグシップモデルのようなド定番になれば例外もありますよ。
しかも、あんまり貴重だと履くときにビビっちゃうじゃないですか。汚したり傷をつけたりできませんから。
でもオールスターってそもそも、そんなふうに恐る恐る履くようなもんじゃないと思うんですよ。先述した通り、汚いくらいがカッコイイ靴ですし。
買い替えがきかない靴を、気を使いながら大事大事に履くのがもう無理になっちゃったんですよね。さらに、NBに慣れちゃったらオールスターなんて足が痛くて履く気も起きませんし。
なので、欲しい人がいるのなら売っちゃえ! と。
とはいえ、思い入れの強い一足ですから、投げ売りはしません。
値付けは今んとこちょっとお高めですかね。値下げ交渉は受け付けますが、アホみたいな値下げもしません。
もしも欲しがる人がいたら譲ってやってもいいかな? って感じの出品です。
最後は宣伝になっちゃったんですけど、大事なものが手元からなくなる前に記録を残しておきたいと思いましてね。
そんなところです。さようなら。