Keds / PRO-Keds がまた日本から撤退するとのこと。
直近では、スニーカーに関してはイオン系列の「ジーフット」が代理店となり、その直営店である「ASBee」や「Greenbox」等で展開されていましたが、昨年から在庫処分のため投げ売りされていたのです。
商品入れ替えなのかブランドを手放すのかが気になりジーフットへ問い合わせしてみたところ、下記の回答を頂きました。
お問合せを頂きありがとうございます。
ケッズ商品のお問い合わせでございますが、日本の総合商社とアメリカケッズ社での版権契約に基づき日本商社と弊社の間で販売契約を結んでおりました。
この契約で、ケッズのシューズ販売は弊社が専属で販売し、一部アパレル向け商品のみ別会社が行う形態でした。残念ながら、日本市場においてケッズの人気がライバルであるコンバースに敵わず、弊社やアパレル向けの別会社も契約の延長には至りませんでした。
また、日本の総合商社とアメリカケッズ社との契約も延長せず契約終了となりました。そのため、現在ではアメリカからの並行輸入品のみが日本で販売されている状態です。
せっかくお問い合わせ頂いたのにお客さまのご要望にお応え出来ず誠に申し訳ございません。
株式会社ジーフット
“ライバルであるコンバースに敵わず、弊社やアパレル向けの別会社も契約の延長には至りませんでした” という潔いまでの撤退理由。
そもそもPRO-Kedsは伊藤忠コンバースとは違ってジーフット系列のショップでしか販売されていないし、正直言ってその作りもデザインもあまりにチープすぎて決して魅力的だったとは言えないので、それも致し方ないかな……という印象ではあります。
ちなみにジーフット企画の商品は、素材はアメリカ本国企画と同様のものを使っているけど別の工場で作っていたとのことでした(僕はアメリカで展開されているのと同様のものが欲しかったので、その件も以前にジーフットへ問い合わせて確認していました)。
実は僕、New BalanceよりもCONVERSEよりもVANSよりも、ブランドとしてはPRO-Kedsへの思い入れが一番強いんです。
80年代、たしか僕が小学4~5年生の頃。上級生のちょっとヤンチャなグループの男子たちがみんなお揃いで履いていたのが、当時のPRO-Keds日本代理店が企画販売していて一世を風靡した「Jumpshot」というモデル。
ホワイトレザーのアッパー。バッシュやテニスシューズをベースとして、サイドに「PRO-Keds」のロゴがデカデカと入ったデザイン。カラバリはネイビーやグリーンやパープルなどがあり、ハイカットとミドルカットで展開されていました。
最近になって、それがellesseの「Assist」というモデルをパク…… モチーフにしたモデルだったということが判明しましたが。
ジャンプショットは決して安くもなかったので、僕は買ってもらうことができず。
ただ、当時の(今も?)PRO-Kedsは他にも廉価なライセンス品がたくさんあったので、ジャンプショットではない合皮の謎モデルを買ってもらうことはでき、それを履いてある程度は満足していました。
上級生グループのリーダー格であった須藤くんは、家業が土建屋か何かで、そこそこのお金持ち。体もデカかったので大人用のスニーカーが履けていたらしく、その他にもK・SWISSやらRunBirdやらL.A.GEARやらのかっこいいズックを履いているので、いつも憧れの目で見ていました。
ちなみに中学生には案の定ヤンキーになり、いつもおっかない仲間たちとツルんでいたので、遠くから見つけるだけでコソコソ逃げるようになりました。
要するに、僕が靴好きになったキッカケがPRO-Kedsだったのですよ。
それ以降のPRO-Kedsは安いライセンス商品のせいかオシャレーなイメージは皆無となり、ファッションアイテムとして注目されることは少なくなりましたが、90年代に突如人気を集めたのが、ご存知 “ラスト・コロンビア” と呼ばれる「ROYAL PLUS(ロイヤル・プラス)」。
これは90年代に買ったのではなく、アルバイトで販売員をしていた靴屋の閉店セールで処分品として入荷して、マイサイズを店頭出しせずそのまま自分用にキープしたもの。売値は5,000円。店頭出しした他のサイズは当然のごとくマニアに見つかって即完売しましたね。その当時もプレ値はついていたのでラッキーでした。
(その店だけではなく、当時はそういう “掘り出し物” ってまだまだあったんですけどねえ)
有名すぎるのでいちいち説明はしませんが、もともとブランドに対する個人的な思い入れもあり、藤原ヒロシが流行らせたものの中では今でもこれが一番好き。
毛足も長いうえに裏が銀面となっている上質なスウェードを大衆向けのスニーカーに使うなんて、今となってはとても考えられない。
残念ながらアウトソールのラバーの硬化が進んでツルツル滑ってしまうので、現役を引退させました。完全にコレクションです。
僕がPRO-Kedsの存在を思い出したのは20歳を過ぎた頃。
いま逆にPRO-Kedsを履いたらカッコイイんじゃないかと思いつき、「古着屋にデッドストックがあったりしないかな?」と最寄りの古着屋(=デザートスノー千葉店)へ行ってみたら、嘘みたいにビンゴで売られていたのがこのモデル。
「ROYAL No.1」という、「ROYAL AMERICA」のハイグレード・モデル。サイドにラインが入っていて、履き口にはクッションが付いています。
コロンビア製。年代的に、これも “ラスト・コロンビア”。
保存している手持ちのものは、若干シミが出てきちゃいました。仕方ない。
デザートスノーでは2,900円で買ったんですよ。
ちょうどその時期、ディーラー経由で日本に大量に入ってきたのか、さらに当時の代理店であるオカモトフットウェアでも在庫を抱えていたのか、その後数年間、古着屋や靴屋、セレクトショップで頻繁に見かけられるようになりました。
値段も店によってマチマチだったので、安く見つけるたびに買い替え、汚れたり古くなってきたら売り飛ばし、これまで2~3足履きつぶしてきました。
いま持っているのは保管用のこの一足のみ。クッションも悪くて歩きやすくはないので、もう履くつもりはありません。
それ以外にも、同時期によくデッドで見られたコロンビア製のスウェードのハイカット、当時のオカモトが展開していたコリア or チャイナ製の「ROYAL AMERICA」や「COURT KING」等々、たくさんのPRO-Kedsを買って履いてきました。
結果的には、どれもソールが硬くてとてもじゃないけど履きやすいとは言えないし、さらに日本代理店がころころ変わるので安定して同じものを入手することができないため、嫌いにはならないものの、履く機会はかなり少なくなってきました。
そしてその後、上記のジーフットが代理店となり再び日本で展開されたわけですが、イオン系のショップでしか売られていないというイメージの悪さと、日本企画で製造されたものがあまりにもチープで格好悪いという理由で、よくチェックはしつつも結局買うことはありませんでした。
そんな中、数年前に、US本国のPRO-Kedsでまさかのモデルが復刻されたんですよ。
そう、僕が靴に目覚めるきっかけとなった、あの「Jumpshot」。
かつて日本のライセンスで人気となったモデルにアメリカ本社が目をつけ、US企画で復刻されるというなかなか珍しいパターン。これは絶対に買おう!と大興奮しました。
しかし如何なる理由か、肝心の日本でこのモデルが販売されることはありませんでした。
もしこれを日本代理店でも展開していたならば、僕は買っていました。もともとが日本企画のライセンス品なんですから、(当時とは会社が違えど)日本の代理店が製造・販売するならば、ある意味それもオリジナルです。
どうしても欲しいのでアメリカのamazonで買おうと画策しましたが、関税が高すぎ、しかも僕が欲しい白×ネイビーだけが何故かいつまでも値引き対象にならず非課税にはならなかったので、結局入手できないまま廃盤となってしまいました……。
スウェードのモデルだけは輸入代理みたいな形で販売されてるのが見つかるんですけど。なんで白×ネイビーをやってくれないのよ。
もしもこれが日本で販売されていたら、そこそこ売れたんじゃないか? と僕は思っています。コンバースに対抗するならばこれを売ればよかったんじゃないですかね、ジーフットさん。
しかし、もはや時すでに遅し。またPRO-Kedsが日本から姿を消してしまいました。次に代理店に名乗りをあげる会社はあるのかしら。
伊藤忠コンバースに勝つなんてのは絶対に無理な話なので、本社側もそんな過度な期待をせず、“永遠のスーパーサブ” としての地位を確立してもらいたいものですが、ま、それも勝手な話なんでしょうかね。
とはいえ、もしもまた買えるようになったとしても、結局ソールが硬くて履かないのかもしれませんけどね。