昨年末から仕事がちょっと大変になりまして、ブログを書くどころかブログのことを考える余裕さえ無くなっていました......。
これを書いている今は日曜日の夜更けにもかかわらず、深夜に自宅作業がありまして(涙)、おかげでその作業時間までにほんの少しの暇ができたので、久方ぶりに更新してみようかと。
仕事は私服勤務のため、フォーマルウェアを着る機会なんて人が死んだときくらいなのですが、さすがに僕も若くはないので冬場の打ち合わせの際にはジャケットを着たりします。
僕の好きなアイテムは、ほとんどが過去からあり続けるスタンダードばかりですから、テーラードジャケットも今っぽくシュッとしてるようなものは逆に敬遠してしまいます。
テーラードジャケットは20代の頃から、紺ブレ、コーデュロイ、そしてツイードばかりを着ています。
古着が好きですから、古着の定番アイテ厶であり、タマ数が多くて見つけやすいという理由もありますね。
そんな中でも着用頻度が高く、何着も所有してきたのがツイードジャケットです。
かの白洲次郎は「ツイードは買ってすぐに着るものではなく、軒下に3年ほど吊るして雨風に打たれ、くたびれてから着るものだ」と言ったとか言わないとか。
言ってなかったとしても、ツイード素材に関しては、古びてて着こまれているもののほうがカッコイイのは間違いないのではないかと思います。
要するに、古着でこそ買う理由があるアイテム。
僕は “新品よりも安いから” という理由で古着を買うことは滅多にありません(まったくゼロでもないけど)。貴重なヴィンテージであろうと無価値なレギュラーであろうと、“古着でなければならない” ものしか基本的には買わない。
ツイードジャケットを古着で買うのには、(自分で着込んだものではないという後ろめたさはあるものの)手っ取り早くカッコイイ状態で入手できるという理由があるのです。
そして、ウール製品全般に言えることですが、昔のモノのほうが圧倒的に品質が良い。近年のツイードは柔らかくなり質が良くなったなんて言う人もいるものの、それは詭弁に過ぎない。生地の厚み、堅牢さ、目の詰まり具合…… 様々な面で昔のウール製品は近年物に勝っています。ただしそれが硬さやゴワつきの原因でもありますので、上記の白洲次郎の言葉にも繋がってくるのかもしれませんけど。
ちなみに今持っているのはこの一着のみ。ところがこれ、当ブログでたまにある「言ってることとやってることが逆」のパターンに当てはまるのですが……汗。
近年モノのJ.CREWの古着です。
以前、仕事で黒いジャケットが1日だけ必要になったことがありまして。でも僕は、黒ジャケットが大嫌いなんです。眠っているスーツも紺のストライプです。仕事で着るたった1日のためにわざわざ新品で購入するのは躊躇していました。
当然のごとくリサイクルショップへ500円程度の予算で探しに行き、そこで出会ったのがこちらというワケ。
ツイードなうえにほぼ黒のチャコールグレー。そしてその生地は名門「MOON」社のヨークシャー・ツイード。
▼参考
現行品に近いので前述したとおり昔のものより薄手で軽く、さらに肌触りも柔らかいので、いかにも「最近のツイード」といった印象ではありますが、ブランドは信頼のJ.CREW。しかも日本語タグの無いUS本国モノ。そして品の良いヘリンボーン柄で形も古臭くないという近年モノのメリットもあり、「必要に迫られて探したつもりが、むしろコレは率先して欲しいやつだ!」と喜び勇んでレジへと向かったのでした。
たしかそのお値段、1,500円。
残念ながら袖が長かったため、ごまかしごまかし着ていましたが、昨年ようやくお直し。
身丈に対して袖が短くなったのでちょっとバランスは悪いのですが、仕事以外のカジュアルなおめかしにも堂々と着れるようになりました。
ま、私物紹介はひとまずこんなところで。
ツイードジャケットって、一点、とても厄介な問題がありまして。
「着こなしが~」とか「コーディネートが~」とか、そんなチンケなことではありません。
ツイードジャケットって、年寄りじゃないと似合わないんですよ。
「歴史あるトラディショナルアイテムだから」「茶系がメインだから」「エイジングが魅力の素材だから着る人も同じ」「ゆえにおっさんが好むアイテムだから」……。理由はいろいろあって、複合的なものだと思います。
その分析は他の誰かに任せるとして、若い人が着てると途端にコスプレっぽくなって、ものすごく相性が悪いということだけは紛れもない事実だと思います。
あのツイード特有のガサついた素材感と、若い人の顔つきや肌ツヤとのバランスが悪い。加えて、痩せた華奢な体形だとさらに似合わない。
※とはいえ痩せててもおじちゃんだと似合うし、若くても太ってるとだいぶマシな気がするので、そのどちらかはツイードを着るうえで必須の条件な気がします。
15年ほど前、雑誌『Free & Easy』が絶大な人気を誇った時代。所謂「ラギッド(=粗野で男くさい)」なアイテムの代表としてツイードジャケットが取り上げられたこともあり、そのときは古着屋での相場も爆上がりしました。若者向けではない「ダッズ・スタイル」を打ち出した雑誌でしたから、やはりツイードはオジンのものという認識でしたね。
でも僕にとってのツイードジャケットは、ラギッドというよりも、どちらかというとナードな紳士のイメージ。
変態貴公子、ジャーヴィス・コッカー(ex. PULP)。
Mr.ビーンに……
金八。
......まあ、やっぱり年寄りです。
僕もモノとして好きなので昔から着ていたとはいえ、自分の年齢や顔とは不釣り合いだなという印象はどうしても拭えませんでした。それがどうでしょう。不惑を迎え、さすがに何をどうやっても若ぶることもできなくなり、そんな自分がツイードジャケットを着た姿を鏡で見たとき、ようやく「許されてきたな」という思いを抱くことができはじめました。それがほんと、去年あたりに。ようやく。
ひとつ例え話。子供の頃は年を取ったら演歌を聞くと思っていましたがそれは間違いで、ただ単に少し昔に流行った音楽スタイルというだけで、演歌が好きな年寄りも当時は若者だったりしたわけです。
ところがツイードジャケットはそれとは違い、本当に年齢制限がある服なんだなと思っています。そしてアイテム自体は流行とは関係なくいつの時代も存在し続けていて、僕らの入門を待ち構えている。
年を取ること。そして、顔に皺が寄り白髪が増え、太って恰幅が良くなること。それらを肯定的に認めて受け入れてくれる洋服がツイードジャケットであります。
いずれ新品から着込んでみたいとも思うものの、前述のとおり着用機会はさほど多くなく。
本場のエゲレス物やイタリー物を買ったら10万は下らないでしょうから、手を出すのもなかなか難しいところですが、買うならLANDS' ENDやEddie Bauerあたりかなと思っています。昔からよくチェックしてまして、お安めでなかなか良いのがあるんですよ。
メンズ・ムーン・ツイード・テーラード・ジャケット | ランズエンド
メンズ・ムーン・ニットツイード・アンコンテーラード・ジャケット | ランズエンド
メンズ・ムーン・ストレッチツイード・テーラード・ジャケット | ランズエンド
メンズ・25周年記念・ムーン・ツイード・ジャケット | ランズエンド
エディ・バウアーでは所謂ノーフォーク・ジャケットが比較的いつもラインナップされていて、とても良い。
ベーシックなやつも……
変わり種も……
あと、GAPもたまに出るんです。10年くらい前にセールで7,000円くらいになってたのを「今は必要ないし……」と買いそびれたことを今でも後悔しています。でもそれ以来ここ数年は、ラインナップされているのを見たことはありません笑。
ようやく年齢制限をクリアしたことですし、ツイードジャケット、コーデュロイジャケット、あとはまた別に革ジャンあたり…… 若くてコスプレになっていたアイテムを久しぶりに掘ってみてもいいかもな、なんて思っていたり思っていなかったりします。
それでは皆様、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。