前回の記事でWoolrichの古着について書きましたが、その続き……といいますか、発展版となります。
Woolrich は L.L.Bean と並んで古着屋でレギュラーアイテムが注目されていないブランドだったけど、最近ようやくブランドとしての価値がついてきた感じがするわ~というお話でした。
今回はサクっとライトにするつもりが、書く内容を考えていたら、そこそこ長くなりそうです。
さて、Woolrichの古着で人気のアイテムに、マウンテン・パーカがあります。SIERRA DESIGNがオリジナルとして有名な、フロントに4つのポケットが付いたアレですね(詳細の説明は省きます。よそ様を参考ください)。
SIERRA DESIGNも好きでもちろん持っていましたが、ウールリッチとL.L.Beanも当然のようにそれぞれ所有しています or かつてしていました。
ウールリッチのほうは今持っていませんが、先日、少し離れたところにあるリユースショップにて発見しまして。
残念ながらサイズがMだったので、スルーしてきたんですよね。Mでも余裕で着られるのですが、LサイズもしくはXLでゆったりと着たかったもので。
今になってちょっと後悔しているところです。珍しい色味だったし、この値段で裏地付きのモデルが買えることはそうそうありませんし……。まだ残ってないかなあ……。
あと実は、似たような色味のL.L.Beanをもう持ってるんですよ。
似てる……というかほぼ同じか。いや、この色自体は結構レアなんですよ。グレーとオリーブグリーンの中間のような、米軍やドイツ軍にありそうな色味です。
ところで、マンパのオリジナルであるシェラデザインは、『横糸に綿を約60%、縦糸にナイロンを約40%の比率で織り上げられた生地』である独自素材の「60/40クロス(通称:ロクヨン)」の一本勝負。
引用元:http://sierra-designs.jp/brand-story/
一方の Woolrich と L.L.Bean は、同じロクヨン素材はもちろん、ナイロン65%コットン35%のシャリ感が強めな生地だったり、その他ナイロン100%のものや、GORE-TEXを使ったものなど多岐にわたって存在していて、僕のようなただのイチ消費者では到底把握しきれていません。メジャーブランドのチカラで他素材&多モデル展開……みたいな。
まだ意匠権や著作権にはうるさくなかった時代、そういうところで競争を仕掛けていたわけですね(たぶん)。
※僕が所有しているものはナイロン100%です。
じゃあ、「Woolrich と L.L.Bean ではどう違うの?」という疑問が出てくるわけですよ。
全体のデザインは大元のシェラを模倣していますから、特に変わりはありません。さらにどちらのブランドにも、裏地にウールのライナーがあるモデルと無いモデルの両方が存在しています。
洋服の情報ってのは大体タグに載ってますから、ちょっくら見てみんべ~と。
L.L.Beanのマンパには「BAXTER STATE PARKA」という名前がついてます。この名前のモデル、今もあるんですよ。ダウンジャケットですけども。
で、品質タグ。
「1438 B」、品番ですかね。
あとは素材が書いてありまして、上記の補足どおりこれはナイロン100%。
さて、一方のウールリッチは今持っていないので、インターネットから拾います。
えーと、「6109」は品番ですかね。
あとは素材が書いてありまして…… ん!?
もっと他のWoolrichも見てみっぺ~と……
↓これ良い色‼
あれれれれ。
ところで、アメリカの洋服メーカーには「WPL●●●●」「RN●●●●●」という固有の番号が振り分けられていて、その情報は必ずタグに記載されています。稀にメーカー名が書いていない品質表示だけのタグがありますが、RNはほとんど書いてありますので、下記のサイトでそれを調べるとメーカーが判明します。
僕が持ってるL.L.Beanのデニムシャツを見てみると、「RN 71341」とあります。
これを検索すると……
はい、L.L.Beanですね。
ではWoolrichのほうはというと、上記の拾ったタグ画像には「WPL 6635」と書いてあります。
ちゃんとウールリッチでした。インターネットは便利だ。
さてここで、もう一度僕の持っているL.L.Beanのマンパのタグを見てみっぺ~と。
皆さん“かしこ”なので、もうもったいぶらなくてもわかりますね。
そういうことなんですよ。昔の服って面白いですね。
タグのデザインが同じという時点で気づくはずなんですけどね。気づいている人はたくさんいるとしても、これまでは雑誌等で全然フィーチャーされてきませんでしたから、特に発表される機会すらなかったんでしょうね。そもそもこんなこと知りたい人もいないでしょうし。知ってる人はみんな自己満足か、古着屋の店員同士で話しているだけだったりで。
なんとOEMだったんですね。
実はL.L.Beanだけではなく、LANDS' ENDやEddie Bauerでもウールリッチ製の製品に自社タグをつけて販売していたようです。
人気ショップ「illminate」さんのブログでは『有名(な話)ですね』と書かれていますが、僕は全然有名ではないと思いますけどね。
その他、僕が持っているL.L.BeanのこのアノラックもWoolrich製のアイテムで、もちろんWoolrichタグのものも見たことがあります。
というわけで、これらの事実は自分でも気づきはしたものの、僕が発見したというわけではありませんので、別に自慢や知ったかぶりなんかはしません。
何を言いたいかというと、Woolrich が好きなら L.L.Bean も LANDS' END も、下手したら Eddie Bauer を好きになるのも今となってみれば当然だったというわけなんですよ。
だって同じもの売ってるんだもん! 昔はみんな仲良しで、消費者も大らかだったんだなあ。
(今にしてみれば全部made in U.S.A.だし、逆に羨ましい話)
自慢するとするなら、こんなのも持ってますよ。L.L.Bean が Dickies に作らせたワークパンツ。当然USA製。
デッドストックで買いました。イレギュラーだったらしくタグが切られていますが、間違いなくL.L.Bean。RNもL.L.Bean。でもパンツの作りとタグの仕様が明らかにDickies。
裾上げもして容赦なく穿いちゃってたの、今となってはもったいなかったな……
『Woolrich が好きなら L.L.Bean も LANDS' END も、下手したら Eddie Bauer を好きになるのも今となってみれば当然だった』ことが言いたいばかりに、ここまで頑張って書きました。
新品のWoolrichについても書きたかったけど、もう無理。
簡単に説明すると、
- 昔はアシックスが日本でライセンスをやってて、デザインがおっさんくさすぎてかっこ悪かった。
- イタリア企画のオシャレラインが展開されたことがあって悪くなかったけど、高かったし、本気のワークやハンティングが魅力なのでちょっと違う。
- 今はゴールドウインの子会社が運営しててヤな感じだけど、日本の商品も海外と同じだよという説明があってちょっとホッとしたよ 。
……程度のハナシでした。
ね? こういうことを調べながら洋服を眺めてると、骨董価値の高いヴィンテージじゃなくレギュラー古着と言われる安価な近年モノでも十分楽しめるでしょ?
それではー。